帯状疱疹は、80歳までに3人に1人がなると推定されています。
原因は、過去にかかった水ぼうそうです。そのウイルスが神経節に潜伏し、それが何らかの理由で目を覚ますことで発症します。

皮膚はたいてい3週間程度で傷をのこし治りますが、ご高齢の方の中には帯状疱疹後神経痛という後遺症が数年にわたり残ることがあります。

従来はウイルスを抑える薬💊としてアシクロビルもしくはパラシクロビルという薬を処方していましたが、2017年にアメナメビルという薬が発売になりました。

栗田皮フ科では今では殆どの患者さんにアメナメビルを第一選択で処方しています。
理由は、①1日1回、2錠で済むことと、②腎機能が悪い方にも飲んでいただけるからです。ただ欠点は、薬代が高いことですが…

帯状疱疹になってなるべく早く(できれば3日以内)に服薬を始めることで、後遺症の神経痛を防げるのですが、現実にはなかなか実現できません。
老齢の方が痛みによる生活の質の低下を目の当たりにすることが残念です。

そこで、朗報です。💫
任意接種のこともありあまり普及していませんが、予防は可能です。☝️
①2016年から、50歳以上の方には、帯状疱疹の予防がワクチンで可能になりました。
従来からある、幼児の定期接種に使用する”水痘生ワクチン”を”1回”接種することで、帯状疱疹の発病の危険性を半分程度、後遺症の神経痛を3分の1程度抑えることができます。
持続期間は8年程です。
欠点は、免疫抑制剤や抗がん剤使用の方にはお勧めできないことです。

②さらに、新たな選択肢が増えました。👏
2020年1月に、新しい不活化ワクチンが発売されました。
シングリックスという遺伝子組み換えサブユニットワクチンです。
利点は、今までの生ワクチンと比べ有効性が高いことです。
データを見ると、具体的には帯状疱疹が97%程度抑えられることや、後遺症の神経痛が90%程度抑えられること。さらに免疫抑制剤や抗がん剤使用中の方にも使いやすいこと などです。
しかし、欠点もあります。
それは、新しいワクチンなので長期的な安全性 のデータがないこと、有効期間が明らかで ないこと、従来の生ワクチンの3倍以上の値段で、それを2回注射する必要があることです。(結局6倍です。)

従来のワクチンか、新しいワクチンか迷うところで、今のところ、私には明確な回答がありません。🤔