アトピー性皮膚炎において、炎症を抑える塗り薬は、ステロイド外用が一般的でした。19年前に免疫抑制剤(タクロリムス製剤)が登場し選択肢が拡がりました。

そして2020.6.24に新しい塗り薬がデビューしました。コレクチム軟膏(デルゴシチニブ)といいます。
ヤヌスキナーゼ阻害剤と言い、リンパ球の作る物質(サイトカインと総称します。)ができる過程を抑えます。

サイトカインの一つ、インターロイキン4(IL4)が働くと皮膚の炎症のスイッチが入ります。IL13は皮膚バリアを壊します。
簡単に言うと、これらを抑えることで、皮膚の炎症のスイッチ、皮膚が壊れるスイッチが入らなくなることに なります。
その結果、皮膚炎になりにくくなります。

このコレクチム軟膏は、ステロイド外用の副作用(ニキビ 、血管拡張 、皮膚が薄くなる、多毛、皮膚感染症誘発など)や、タクロリムス外用の副作用(ヒリヒリ、ほてるなどの刺激感)は無いので、個人的には期待できる新薬です。
発売当初から、了解をいただいた患者さんに処方していますが、良い評価をいただいています。

残念ながら、現時点では、小児の適用はありません。
でも現在、濃度の低いコレクチム軟膏を、製造元のJT(日本たばこ)が厚労省に追加申請をしています。