皮膚腫瘍・皮膚症状を伴う全身疾患

良性腫瘍(粉瘤、脂漏性角化症、線維腫、血管腫等)

基本的に良性の皮膚腫瘍は、見た目や、気になるか否かという基準で考えればよいと思います(眼の周りで視界に入ったり、頭部にあり櫛が引っかかる等で、)。例えば“脂漏性角化症”は老化によるもので、30歳代からできることがあります。60歳の方の8割に認められます。

治療

“粉瘤”は、放置しておくと将来的に炎症を起こして痛くなるものなので、化膿する前に切除をお勧めします。また、足裏の“母斑(ほくろ)”等で長径が7mmを超える色素性病変は、病理組織検査もかねて切除をしたほうが良いでしょう。

悪性腫瘍(基底細胞がん、有棘細胞がん、悪性黒色腫、パジェット病等)

視診やダーモスコピーで悪性腫瘍を疑う場合、積極的に生検(皮膚の一部を採り病理検査をすること)をいたします。

治療

皮膚の悪性腫瘍も手術で採れば終わりという腫瘍や、術前、術後に追加治療が必要なものもあります。入院が必要な時は、大学病院の皮膚科や形成外科を紹介しております。

前がん症状(日光角化症、白板症、脂腺母斑等)

有棘細胞がんの前駆症状には“日光角化症”、“やけどの跡”、“放射線皮膚障害”、“白板症”等があります。また、生下時からの頭部の脱毛班で気づかれる“脂腺母斑”は、将来的に基底細胞がんの母地となることもあります。

治療

脂腺母斑、時期を見て切除をお勧めします。いずれにせよ、生検が重要です。

母斑症

近年、母斑症の疾患概念を避ける傾向もありますが、母斑症の多くに疾患責任遺伝子が明らかになってきています。
代表的なものに人口10万人に30~40人程度の発生頻度のある“レックリングハウゼン病(神経線維腫症Ⅰ型)”があります。多くは、出生時に6個以上のカフェオレ班があり、思春期頃に神経線維腫という軟らかいしこりが出てきます。

治療

母斑症は、軟らかいしこりの他、神経系の異常も出てくるので、皮膚病変以外はそれぞれの専門医との連携が必要です。

膠原病

皮膚は内臓の鏡という方もおります。膠原病に代表される多臓器に問題が出る病気の中には、皮膚にも症状が出る病気も多々あります。皮膚病変がきっかけで見つかる病気も少なくありません。
光線過敏があり、頬に蝶形の紅斑があり、脱毛、発熱、口内炎、関節痛等があり、採血をすると自己抗体陽性、白血球数減少等では“全身性エリテマトーデス”を、皮膚が固くなり、食道や腸、肺等も線維化が進むと“強皮症”を考えます。倦怠感に引き続き、眼の周囲が紫紅に腫れたりするときは“皮膚筋炎”を念頭に置きます。このような時は精密検査が必要です。

治療

内科医と連携し、早期の積極的治療開始が必要と考えます。